下町の社労士・行政書士のドタバタ業務日記  マチと職場のトラブル・困まり事、ドンと来い!  許認可、相続、契約から年金、人事、労災まで。

2010.01.  12345678910111213141516171819202122232425262728  2010.03.

 この3月1日に「労働契約法」が施行された。これは労働契約をめぐる民事的なルールを整理したものである。でも、労働基準法はあるのに、なぜ労働契約法が必要なのか、労働基準法とどこがどう違うのか、その区別がよくわからない人が多い。

 労働契約法は、労働契約に関する民事的なルールである。内容については詳しくは述べないが、いちばん大きなポイントは、労働条件の変更は原則として労働者の合意が必要であるということが、法律の条文で明記された点だろう。双方契約の合意原則というのは、民法上は当たり前のことであり、判例法理でも確立されてきた。これ自体には目新しさはない。しかし、労働法規に明記された点は大きい。

 そして、ポイントはそれだけに止まらない。その合意がない場合は、就業規則の変更された規定が合理的であり、かつ周知されていれば、その規定は法規範性を持ち、労働者はその規定の適用を免れないということも、法律の条文で明らかされた。これも秋北バス事件などの判例法理で確立されてきた考え方であり、それが労働法規に入ってきた。

 ここで問題は、この合理性の有無を誰が判断するのかということだ。それは具体的な争いが裁判所に持ち込まれ、そこで判断されることになる。もちろん、これまでの判例法理で示されている基準も参考にはなるが、それが直接的に労使を拘束する力はない。誰かが、司法という公の場に異議申立てをして初めて、合理性が判断され、労使を拘束する判決が下される。

 つまり、労働契約法が定めた民事的ルールというものは、このような性格のものである。あくまでルールを取り決めたものだから、直接的に労働条件の合理性までは規定しないのである。その意味では、役割は民法と同じである。無視はできないけれども、基本的には当事者の納得性が基本だ。ただし、争いごとになると、労働契約法は交通整理役として大きな役割を担うことになる。

 一方、労働基準法は、労働契約の基準を、最低基準として直接的に規定している。その違反に対しては刑罰が課される強行法規なので、その拘束力は絶対的である。いちいち裁判所にお伺いを立てるという性質のものではない。労基法違反は取り締まり機関によって是正される。ここでは、当事者の納得性などは無関係なのである。

 労働契約法の条文を読むと、あまりピンとこないことも多いだろう。それは民事的ルールであるがゆえに、労働基準法のように具体的に書かれていないからだ。判例法理を整理しただけだとの批判も聞こえてくる。しかし、この労働契約法をどう生かすかは、関係者の問題である。法律として成立した点は大きく評価すべきことのように思える。


2008.04.20 Sun 11:50
Name
Mail
URL
Title
Message
Pass
Secret  管理者にだけ表示する
Top
労働基準法の基礎知識や事例集など、労働基準法や労働基準監督署に関する各種情報提供と、相談できる専門家の紹介を行っています。
労働基準法・労働基準監督署ガイド 2008.08.15 Fri 02:01

Trackback URL

Top
プロフィール

くまい事務所

Author:くまい事務所
 正確には、以下を総称した事務所名。
1 くまい社会保険労務士・行政書士事務所
2 ねんきん研究センター
3 ケイツー・メソッド

 代表は、労働関係シンクタンク、ビジネス書の出版社などを経て、独立。社会保険労務士、行政書士、DCプランナー、簿記などの資格も持つ。

 1では、人事労務、社会・労働保険、人材教育、安全衛生、行政手続きなどの仕事を手がけている。
 2では、私的年金の形成をサポートするとともに、企業年金の整備も相談に応じている。
 3では、フリーランスのプランナー・編集者として企画・編集・執筆までもこなす。

 専門誌で連載を持ち、就業規則の本も刊行。


■くまい社会保険労務士・行政書士事務所のHPはここから■









Copyright © 下町の社労士・行政書士のドタバタ業務日記 All Rights Reserved.

Designed by Flug

FC2Ad

FC2ブログ