初夏

派遣社員と傷病手当金の受給要件

今夜、NHKの「クローズアップ現代」で、
心の病を中心とした非正規従業員の健康問題を取り上げていた。
その中で、うつ病にかかった派遣社員の事例が報告されていた。

この人は、うつ症状のために仕事を長期に休まざるを得ず、
会社に健康保険の傷病手当金の受給を求めたら、
「受給資格期間」を満たしていないとして認められなかったという。

そこで、やむなく派遣会社を退職したのだろう。
今度は失業保険(基本手当)を受給しようとしたそうだが、
求職活動ができないことから、これも認められなかったそうだ。

ところで、番組の解説によれば、傷病手当金の受給には
継続した「1年間」の加入期間(つまり保険料支払い期間)が必要で、
このケースではそれを満たしていないと説明していた。
現職と前職との間に、国民健康保険の加入期間があり、
傷病手当金を受給するには、2か月ほど足りないのだとか

そんなバカな! そんな要件いつの間に出来たのか。
社労士である私が知らなかったなんて…。 正直、あせった。
あわてて資料を確認したら、やはりそんな要件はなかった。
これは明らかにNHKの間違いである。

傷病手当金の受給に、加入期間の要件などない。
加入期間が問題となるのは、現に傷病手当金を受給していて、
退職後(資格喪失後)もそれを受給しようとする場合である。
ここでは、NHKの解説のように1年間の期間が求められる。

このケースは、そもそも事実関係がおかしいのではないか。
たぶんこの人は退職後に傷病手当金を請求したのだろう。
だから、1年間云々ということが本質的な問題ではなく、
現に傷病手当金を受給していなかったことのほうが本質だ。

現に傷病手当金を受給できていて、退職せずに済めば、
1年間という加入期間が問題となる余地はない。

それよりも、この番組を観た視聴者は、傷病手当金の受給には
1年の資格期間が必要だと受け取ってしまうではないか。
そちらのほうが社会的な影響は大きい。とくに
非正規社員のみなさん、健康保険に加入していれば、
そんな要件はありません。

もう少し、きちんと調べて、放送してもらいたい。
テーマ: 健康生活! -  ジャンル: ライフ
by くまい事務所  at 00:44 |  社会・労働保険 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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プロフィール

くまい事務所

Author:くまい事務所
 正確には、以下を総称した事務所名。
1 くまい社会保険労務士・行政書士事務所
2 ねんきん研究センター
3 ケイツー・メソッド

 代表は、労働関係シンクタンク、ビジネス書の出版社などを経て、独立。社会保険労務士、行政書士、DCプランナー、簿記などの資格も持つ。

 1では、人事労務、社会・労働保険、人材教育、安全衛生、行政手続きなどの仕事を手がけている。
 2では、私的年金の形成をサポートするとともに、企業年金の整備も相談に応じている。
 3では、フリーランスのプランナー・編集者として企画・編集・執筆までもこなす。

 専門誌で連載を持ち、就業規則の本も刊行。


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